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2007年04月14日

『ミミズクと夜の王』(紅玉いづき)


紅玉 いづき / メディアワークス(2007/02)
Amazonランキング:1194位
Amazonおすすめ度:
「愛すべき一冊」と語れる出来。
これでいいのかもしれない
notライトノベル




魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。
額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。
自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。
願いはたった、一つだけ。
「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」
死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。
全ての始まりは、美しい月夜だった。
── それは、絶望の果てからはじまる小さな少女の崩壊と再生の物語。
第13回電撃小説大賞<大賞>受賞作、登場。




有川さんで電撃文庫を見直した私ですが、『ミミズクと夜の王』で更にやられてしまいました。
何だろう、とても綺麗な作品でした。
子供に読ませたい。
でも、娘にはまだちょっと難しいかな〜
色々とままならない世の中を知っていればこそ、グッとくるものがあるのかも・・・
大人の心に響く御伽噺、そんな感じかな・・・

ミミズクは、夜の王に出会うまでは人間として扱われることもなく、優しさなど知ることもなかった。
でも、夜の王に出会う所から始まるこの物語の中では、優しさを与えられたことのなかったミミズクに、全てのものが優しい。
魔物でさえも不器用な優しさを与えてくれる森で、ミミズクは初めて優しさを知る。
様々な出会いを通して、人間らしい感情と愛情を知ったミミズクは、自分の居るべき場所、優しさを注ぐべき相手を知る。

愛を知ることなく育った少女が、愛を与えられ、愛を与えることを知る、そんな御伽噺です。



これを大賞に選出した電撃さん!やるな・・・

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2007年03月07日

『モノレールねこ』(加納朋子)


加納 朋子 / 文藝春秋(2006/11)
Amazonランキング:13857位
Amazonおすすめ度:
どのお話が一番かな
あたたかな筆致の、(非?)日常の短編集。
心温まる!何度でも読み返したい!




時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。




優しく、ちょっと切ない短編集でした。
全体的に、ふとしたきっかけで忘れていた過去の記憶が蘇る物語が多かったです。

最後の『バルタン最後の日』が一番好きかな。
ザリガニが語りを担当しているので、最初は滑稽な印象でしたが、ラストではちょっとグッと来ました。
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2007年02月25日

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』 (リリー・フランキー)


リリー・フランキー / 扶桑社(2005/06/28)
Amazonランキング:435位
Amazonおすすめ度:
正直で素敵な親子愛
たわいもない日常の中で家族に心が動く瞬間
淡々と語る・・・




それはまるで、独楽の芯のようにきっちりと、ど真ん中に突き刺さっている。東京の中心に。日本の中心に。ボクらの憧れの中心に。この話は、かつて、それを目指すために上京したオトンと、ボクと、オカンのちいさな話です。



スペシャルドラマを見てかなり間を空けてから、原作をやっと読むことが出来ました。
やはり、ドラマではかなりはしょられているし、原作には無いエピソードやタイミング違いで出てくるエピソード等、違いは多々ありました。
ただ、ドラマを見てかなり時間が経っているからか、その事に違和感を感じるという程では無く、ドラマはドラマ、原作は原作として読むことが出来ました。
ただ、ドラマを見てるせいで、気付けばオカンは田中裕子さん、オトンは蟹江敬三さんを思い浮かべつつ読んでいました。
ボクに関しては、りりーさんをTVでよく見ているせいでリリーさん本人が浮かんでいました。


やっぱり泣かされてしまいました。
途中までは、泣かずに読み終わるかと思っていたんですが、無理でした。
ボクは親孝行出来なかったと思っているみたいですけど、私は、オカンはきっと幸せだったんじゃないかなと思ったんです。
だから、泣かずに済むかと思ったんですけど、終盤は何度もハンカチのお世話になってしまいました。

親が子供を思う気持ち、子供が親を思う気持ち、それがとてもダイレクトに伝わって来て、素直に読むことが出来ました。

父親不在で母と子の関係が濃密過ぎて、思春期に差し掛かったボクはオカンの傍を離れざるをえなかったんでしょう。
高校からすっかり大人になってしまうまで、離れ離れの上、留年や家賃滞納、借金と、確かに沢山の苦労を掛けているけれど、オカンはそれを苦労とは思っていなかったと思う。

息子しか頼れる人のいない東京へ出てきてからのオカンは、オカンの人柄故に沢山の友人を作り、何より、今まで長い間離れ離れだった最愛の息子が傍に居て、その世話が出来ることが幸せだったんじゃないかと、そう思います。
オカンもボクも、東京での7年間で離れ離れの時間を埋めていた様に感じました。



<その時>が近づき、「逝かないで」と切望する子供の気持ちと、<その時>までずっと子供のことを心配する親の気持ちに何度も胸が詰まってしまいました。


オカンに育ててもろうたことを、ボクは誇りに思うとるよ。


これが、オカンに対する最高の感謝の気持ちだと思いました。
息子にそう思って貰えたことが、きっと一番嬉しいと。
タグ:東京タワー
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2007年02月14日

『風の墓碑銘(エピタフ)』(乃南アサ)


乃南 アサ / 新潮社
Amazonランキング:58657位
Amazonおすすめ度:
心に響きます
音道が心の中で滝沢に付けたあだ名、笑える。
ハラハラすることはないけれど




解体工事現場から白骨死体が3つ。そして徘徊老人の撲殺事件。貴子の脳裏で、ある「笑顔」が2つの難事件を結びつけた。白骨たちの悲しみが貴子を「信じがたい」解決へと運ぶ…。音道貴子と滝沢保の名コンビ復活!




随分前に読んだ『凍える牙』以来、久々に読んだ乃南さんの作品。
『凍える〜』で出てきた<音道&滝沢>のコンビってことで楽しみに読み始めました。

う〜ん、『凍える〜』も良かったんだけど、それよりもずっと良かった。
<音道&滝沢>が、反発したり歩み寄ったりしながら(嫌々ながらも?)<相方>としての繋がりと呼吸、信頼を築いている様がじれったかったり嬉しかったり微笑ましかったりで、このコンビが益々気に入りました。

ストーリー的にも、前作よりも深かった様に思います。
真夏の炎天下の中、刑事達が山の様な無駄足を踏みながらも小さな手がかりを求めて地道に犯人を追い求める様がじっくりと描かれていました。
実際の捜査がどんなものなのかは全く知りませんが、白骨死体や遺族の思いを感じ、無念を晴らしたいと奮闘するその地道な積み重ねは本当に頭の下がるものだと思いました。
posted by 読書猫 at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月07日

『しゃべれどもしゃべれども』(佐藤多佳子)


佐藤 多佳子 / 新潮社
Amazonランキング:768014位
Amazonおすすめ度:
プロセスに掛ける情熱が,この物語の良さ
いい「良し」をもらった
筋の通った意地っぱり集団の連帯




しゃべりのプロだろ、教えてよ―あがり症が災いして仕事も覚束なくなった従弟の良や、気まぐれで口下手なために失恋ばかりしている美女の五月から頼られて、話し方教室を開くハメになった若い落語家の三つ葉。教室には苛めにあってる小学生や赤面症の野球解説者まで通ってきて…。嘘がつけない人たちの胸キュン恋愛小説。



気になりつつもなかなか図書館に予約を入れず、予約を入れてもなかなか順番が回ってこなくて読むのが今になってしまった。
どうしてもっと早く読まなかったんだろうと思う程、佐藤多佳子さんは私のツボに入る作風でした。

喋ることに何かしら問題を抱えた風変わりな人達が、短気でお人好しな噺家に『まんじゅうこわい』を教わりながら自分の問題、仲間の問題と格闘する様が描かれています。
面白可笑しく淡々と事の顛末は語られ、楽しく読み進めていたのですが、終盤を迎えると、小学生の村林の頑張りにぐっと来てしまいました。

そして、ラスト。
読了後は、とても暖かい気持ちにさせてもらえました。
この読了感、とてもいいです。
posted by 読書猫 at 21:06| Comment(1) | TrackBack(1) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月24日

『初恋』(中原みすず)


中原 みすず / リトルモア
Amazonランキング:53586位
Amazonおすすめ度:
みすずの初恋
初恋は実らないと言いますね。
初恋




私は「府中三億円強奪事件」の実行犯だと思う。だと思う、というのは、私にもその意志があったかどうか定かではないからだ。雷雨の朝、白いオートバイ、18歳の少女…。「三億円事件」の秘密の扉がいま静かに開かれる。



正直、小説としては淡々としすぎて可も無く不可も無い感じ。
でも、この設定と結末にはすっかり一本取られてしまいました。

「府中三億円強奪事件」の実行犯は女子高生だった!?
その動機は<初恋>だった!??

主人公の少女は、著者と同名。
しかも、<実話>かと思わせる様な前書きとあとがきで「本当に著者は実行犯で、時効が成立したから青春時代の思い出として書いちゃったんじゃないんだろうか??」と思わされてしまう・・・

淡々とした文章故に、尚更、現実味を感じてしまいました。
思い出を書き綴りましたって雰囲気が漂ってるんですよね。
半信半疑で「事実なんじゃないんだろうか・・・?」と、読後暫く悶々としてしまいました。

これが事実だったとしても、さもありなん・・・
完全なフィクションなんだとしたら、まんまと著者にしてやられてしまいました・・・
映画もちょっと見てみたいな〜・・・
posted by 読書猫 at 13:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

『きつねのはなし』(森見登美彦)


森見 登美彦 / 新潮社
Amazonランキング:3945位
Amazonおすすめ度:
幻想とは、若者が誰かと出会い、夢のように時間が過ぎることだ
自分には合いませんでした・・・
張り巡らされた糸が囁く




京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は―。端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。




4つの短編が繋がってる様で繋がってない、不思議な世界でした。
<骨董屋の芳蓮堂><胴が長くて人間の様な顔をしたケモノ><幻燈><狐の面>等々、共通して出てくるアイテムの影響で短編に関連があるかの様に感じてしまうけど、確証はない。

それぞれの短編を読み終えた時に、謎が解決しているかといえばそうでもなく、4つの短編を全て読み終えても核心に触れられることはなく、謎は謎のまま余韻を残して横たわっていました。

とにかく、妖しくひっそりとした恐怖を隠した作品です。
京都を舞台としているだけに、「あるかもしれない」と感じさせられてしまいました。
何があっても、どんな妖が潜んでいても不思議じゃない古都の闇が見え隠れする世界でした。
posted by 読書猫 at 12:47| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月29日

『家守綺譚』(梨木香歩)


梨木 香歩 / 新潮社
Amazonランキング:53221位
Amazonおすすめ度:
少しだけ
いつまでもいつも手元に置いておきたいような
純和風




たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。




不思議な不思議な世界なのですが、登場人物は皆それをさして特異なこととして受け止めず、あるがままに受け入れて暮らしている様子です。
池には河童が出没し、近くの山へ登れば狐や狸に化かされる。
でも、そこに悪意は感じなくて、優しささえ感じます。
とても癒される短編集でした。
posted by 読書猫 at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月23日

『紗央里ちゃんの家』(矢部嵩)


矢部 嵩 / 角川書店
Amazonランキング:98780位
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狂気と猟奇
異質な観点から。
ホラーだけど




叔母からの突然の電話で、祖母が風邪をこじらせて死んだと知らされた。小学五年生の僕と父親を家に招き入れた叔母の腕もエプロンも真っ赤に染まり、変な臭いが充満していて、叔母夫婦に対する疑念は高まるけれど、急にいなくなったという従姉の紗央里ちゃんのことも、何を訊いてもはぐらかされるばかり。洗面所の床から、ひからびた指の欠片を見つけた僕は、こっそり捜索をはじめるが…。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。




見事なまでに、正常な人間が出てこない<異常>な世界でした。
最初は、語りが小学5年生の男の子だから考えを稚拙にしているのかと思ったんだけど、読み進めるといくらなんでも正常な反応じゃない。
咄嗟に隠し場所が無かったからといって、見つけちゃった<ひからびた指>を<あんな所>に隠したりしないでしょう。
それに、一緒に泊まっている筈の父親が無反応なのも明らかにおかしい・・・

う〜ん、ホラー小説は好きだけど、この設定にはついて行けなかったな〜
選評を読むと、異常な視点から異常を描いてる点が評価されている様だけど・・・
私はやっぱり正常な人間がどんどん異常な世界に追い詰められて行く話しの方が怖いです。
異常な人間しか出て来なかったら怖くないです。
なんというか、主人公になったつもりで怖がることが出来ないから入り込めない。
外側から異常な出来事を眺めてる感じかな。
「うわ〜気持ち悪いな〜」とは思っても、「怖い!」とは感じませんでした。

こういうホラーもあるんだな。
ある意味、新鮮ではありました。
あ、そこが評価されたのか・・・
でも、大賞には出来なかったと・・・なるほど・・・
posted by 読書猫 at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月06日

『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン)


ダン・ブラウン, 越前 敏弥 / 角川書店
Amazonランキング:40198位
Amazonおすすめ度:




ダン・ブラウン, 越前 敏弥 / 角川書店
Amazonランキング:22192位
Amazonおすすめ度:
下巻が「最高におもしろい」と思うのは、私だけであろうか?
音感が耳ざわりでとうとうお蔵入り
観てから読むか、読んでから観るか?





ルーヴル美術館館長ソニエールが館内で死体となって発見された。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大教授ラングドンは、フランス警察より捜査協力を求められる。ソニエールの死体は、グランド・ギャラリーでダ・ヴィンチの最も有名な素描『ウィトルウィウス的人体図』を模した形で横たわっており、さらに、死体の周りには、複雑怪奇なダイイングメッセージが残されていた。館長の孫娘でもあり、現場に駆けつけてきた暗号解読官ソフィーは、一目で祖父が自分だけに分かる暗号を残していることに気付く…。『モナ・リザ』『岩窟の聖母』『ウィトルウィウス的人体図』―。数々のダ・ヴィンチ絵画の謎が導く、歴史の真実とは。




今でも図書館の予約が続いているこの本。
実はかなり前に一度借りたのですが、返却期限までに読めず、予約が続いている為に延長も出来ず、途中で返却したのでした。
今回はリベンジ成功。
地元の図書館は親切で、上下巻ものはなるべく一緒に貸し出してくれるので、一気にラストまで読めました。

前回、上巻の後半まで読んでいたのですが、正直、面白いけどそれ程引き込まれてもいなかったんです。
でも、面白いのは上巻のラスト近くから下巻の終盤にかけてだったんですね。
謎解きに次ぐ謎解きで、続きを読ますにいられませんでした。
面白かった〜
ほとんどは説明を読むまでサッパリでしたが、一つだけは割と簡単な答えで、おバカな私でも早いうちにパスワードが分かりました。
これは多分作者のサービス?
全然分からないより、一つくらい分かった方が登場人物達と一緒に謎解きに参加している気分が味わえるからかしら??
な〜んて思ってしまいました。

翻訳物は人物名や地名に馴染がないせいか、読みにくいってイメージがあったんですが、これは全然大丈夫でした。
posted by 読書猫 at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

『あやしうらめしあなかなし』 (浅田次郎)


浅田 次郎 / 双葉社
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大人のホラー
うまいなあ。
お勧めの短編集です




日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。



タイトル通り、あやしくて悲しい物語が収められていました。
物語は、明治から現代まで様々ですが、どの物語も根底に日本的な神話の世界の様な雰囲気を感じました。
人間の持つ弱さ、情の深さ、悲しさ、そんなものが散りばめられた淡々と語られる静かな奇譚集。


うまく表現出来ないけど、大人の御伽噺という感じ。
ちょっと寒くなってきたこの時期に読んだのは、いいタイミングだった様に思いました。

浅田次郎さんの作品は読んだことがありませんでしたが、ジャンルが幅広い作家さんだなと思っていました。
上品で素敵な物語を作り上げる作家さんなんですね。
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2006年10月31日

『晴れときどき猫背』(村山由佳)


村山 由佳 / 集英社
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いのちって素晴らしい
田舎暮らしエッセイ
いのちと本能




人生あみだくじ。鴨川の生活に迷いこんできた猫と生きものたちが暮らしを変えた。辛い時には雨の日の猫のように背中をまるめてやり過ごそう。時間はたっぷり。嬉しいことはちゃんとやってくる。



笑わされ、そして泣かされました。
人気作家、村山由佳さんの、猫満載のエッセイです。
筋金入りの猫嫌いである旦那様が、デレデレのセクハラ猫好きに変身する様子がとても微笑ましかったです。
自然の中で、初めてのことにあたふたしながらも小さい命と心を通わせていく村山家はとても素敵だと思いました。

そして、動物は逞しい。
母猫の愛は厳しく、そして限りなく優しい。
そう感じ、涙を堪えることが出来ませんでした。


自然の中で動物達に囲まれる心地いい生活を得る為、村山家は前進し続けている様です。
もう夢は実現した頃なんでしょうか?


座右の銘は『人生あみだくじ』、そして『晴れときどき猫背』
夢を実現する為の行動力に脱帽です。


猫好きならば読むべし!
posted by 読書猫 at 00:34| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

『千年の黙 異本源氏物語』(森谷明子)


森谷 明子 / 東京創元社
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紫式部探偵もなかなか面白い
紫式部の巻き込まれた些細な事件、だが、その後ろには・・・?
千年前にタイムトリップしてみたら




闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身―。幾重にも絡み合った謎を解き明かす紫式部の推理を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」、『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」―この巻はなぜ消え去ったのか?式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たちの姿を鮮やかに描き上げた王朝推理絵巻。第13回鮎川哲也賞受賞作。




雅な平安物でありながら、なかなか面白い設定の作品でした。

まず、第一部の「上にさぶらう御猫」では、まだ<源氏物語>を書き始めたばかりの紫式部が探偵となり、行方不明になった帝御寵愛の猫の行方を突き止めます。
紫式部が探偵の様なことをしてる?!
と、最初はちょっと驚いたけど、<源氏物語>を作り上げ、清少納言と並び称される才女なんだから有りかと思う。
第一部の終盤に、<源氏物語>を書くにあたり自分の思う通りに書くことを躊躇していた紫式部は、まだ入内前の、後に中宮となる彰子に出会い、思うままに書くことを決心します。
この中宮彰子がなかなかに潔い人でちょっと気に入りました。

そして、<源氏物語>の前半11帖を完成させて中宮彰子に献上する所から第二部「かかやく日の宮」が始まりますが、のっけからその中の一帖が抜き取られ処分されてしまいます。
そのことに気付いた紫式部が自ら、何時、何処で、誰によって抜き取られたのかを解明するというストーリーです。

実際に、<源氏物語>には抜けた巻「かかやく日の宮」があるのではないかという説があるそうで、この作品はその説にヒントを得て書かれた平安版探偵小説って感じでしょうか。

設定と「かかやく日の宮」紛失の顛末が面白い、一風変わった作品でした。
posted by 読書猫 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月20日

『安徳天皇漂海記』(宇月原晴明)


宇月原 晴明 / 中央公論新社(2006/02)
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ジパングの若き詩人王は詠い、巡遣使マルコ・ポーロは追う。神器に封じられた幼き帝を 壇ノ浦から鎌倉、元、滅びゆく南宋の地へ。海を越え、時を越えて紡がれる幻想の一大叙事詩。



いや〜時間がかかったexclamation
もともと読むのが遅いのに、今回は更に遅かったです。
物語は、<第一部 東海漂泊−源実朝篇>と<第二部 南海流離−マルコ・ポーロ篇>に分かれているんですが、この第一部を読むのに悪戦苦闘しましたあせあせ(飛び散る汗)
苦しんだ原因の一番目は、度々出てくる古文の引用exclamation
歴史ものは好きだけど、古文漢文は苦手なんですよ〜ふらふら
後に続く本文で説明してくれるから飛ばしても良かったと思うんですが、ついつい律儀に頑張って読もうとしてしまうんですよね。
で、疲れるから長時間連続して読めない・・・
二番目に、実朝の家臣だった人による回想として語られる形式だったことかな〜
登場人物による語りは、余程はまらない限りあまり好きではありません。
てな訳で、第一部を読むのにえらく時間がかかってしまいまして、あやうく途中で投げ出してしまうところでしたあせあせ(飛び散る汗)

でも、第二部に入るとかなりいいペースで読むことが出来ました。
安徳天皇と大宋最後の皇帝の触れ合い、それを見届けるマルコ・ポーロ。
二人の悲劇の皇帝の行く末に、かなり引き込まれました。


あくまで、歴史を叩き台にしたファンタジーとして読めば、とても奇想天外で面白い話でした。
ただ、私にとっては第一部が厳しすぎたな〜
いや〜読了出来て良かった。
頑張ったな〜、私exclamation
posted by 読書猫 at 21:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月02日

『陰日向に咲く』(劇団ひとり)


劇団ひとり / 幻冬舎(2006/01)
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お笑い芸人・劇団ひとり、衝撃の小説デビュー! 「道草」「拝啓、僕のアイドル様」「ピンボケな私」ほか全5篇を収録。落ちこぼれたちの哀しいまでの純真を、愛と笑いで包み込んだ珠玉の連作小説集。



『安徳天皇漂海記』を読み始める直前に、会社の同僚に薦められ、彼女に借りて読みました。

とても読みやすくて一気に読めました。
短編が少しずつ繋がっていて、とてもよく構成されていました。
ただ、私は登場人物に入れ込めなかったんですよね〜
毎日に追い立てられるのが嫌でホームレスに逃げる妻子持ちの男や、アイドルに入れ込む男、イケメンに騙される少女、ギャンブルで多重債務に陥ってる男・・・などなど、人生の負け組みでありながら一生懸命生きている人々を描きたかったんだろうとは思うんだけど、共感は出来ませんでした。
なんでかな〜・・・

確かに、良く出来ていて初めて小説を書いたとは思えなかったし、文章も読みやすくてサクッと読めたんだけど・・・
人物に入れ込めないっていうのは、小説としての面白みが半減するんだなと、そう思いました。
共感出来る、もしくは、反感を感じる。
私の場合、そういうインパクトある人物が登場するかどうかで、小説が面白く読めるかどうかが決まってたんだなと思いました。
小説は文字のみの世界で、そこから先は読み手の想像力にかかっている訳で、映画やドラマなら役者によって演じられる人物の深みを、いかに文字で表現出来るかで読み手を引っ張り込めるかどうかが決まる。
そこには、読み手の好みも大きく関わってくると思う。
少なくとも、私には今回の小説の登場人物は魅力的に映りませんでした。
ミステリーや推理小説なら話の展開で引っ張られるけど、この作品の様に人間や人生を描く小説には、登場人物に魅力があるかどうかが大切だなと思いました。

ともあれ、初めて書いた小説とは思えない完成度じゃないかとは思います。
次回作に期待かな〜
posted by 読書猫 at 16:47| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月18日

『佐賀のがばいばあちゃん』(島田洋七)


島田 洋七 / 徳間書店(2004/01)
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ばあちゃんもかあちゃんも大好きだったんですね
暖かい人たちがいっぱい
作者で本を判断しちゃいけないんだ




昭和三十三年、広島から佐賀の田舎に預けられた八歳の昭広。そこでは厳しい戦後を七人の子供を抱えて生き抜いたがばい(すごい)祖母との貧乏生活が待っていた。しかし家にはいつも笑いが溢れ…。




面白かった!
痛快だった!
涙腺ちょこっと刺激された!

もうね〜<がばいばあちゃん>最高exclamation
島田洋七さんのことはB&Bくらいでしか知らないけれど、こんなばあちゃんに育てられたんならきっと素敵な人なんだろうと思ってしまう。
で、洋七さんに関わる友達も先生もいいんだよ〜


物が無かったけど人の優しさが溢れていた時代。
ここまでじゃなかったけど、私の子供時代もまだまだ近所の繋がりが強かったな〜
学校の先生も、厳しいけど素敵な先生が沢山いた。
あ〜、なんか懐かしい気分に浸ってしまう。



文庫本の巻末に<がばいばあちゃん>の楽しく【生きる方法語録】が掲載されているんだけど、これがいいexclamation

通知表は、0じゃなければええ。
1とか2とかを足していけば5になる!

今のうちに貧乏しておけ!
金持ちになったら、旅行へ行ったり、寿司食ったり、着物を仕立てたり、忙しか。

貧乏には二通りある。
暗い貧乏と明るい貧乏。
うちは明るい貧乏だからよか。
それも、最近貧乏になったのと違うから、心配せんでもよか。
自信を持ちなさい。
うちは、先祖代々貧乏だから。

「ばあちゃん、英語なんかさっぱり分からん」
「じゃあ、答案用紙に『わたしは日本人です』って書いとけ」
「漢字も苦手で・・・」
「『僕はひらがなとカタカナで生きていきます』って書いとけ」
「歴史も嫌いでなあ」
「歴史もできんと?『過去にはこだわりません』って書いとけ」



<がばいばあちゃん>最高ぴかぴか(新しい)

沢山の人に読んでほしいな〜exclamation×2
posted by 読書猫 at 18:04| Comment(2) | TrackBack(3) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『七姫幻想』(森谷明子)


森谷 明子 / 双葉社(2006/02)
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寵姫の閨でなぜ大王は死んだのか???遥か昔から罪の匂いをまとってきた美しい女たちがいる。時代を経てなお様々に伝わる織女伝説をモチーフに、和歌を絡めながら描く七編の連作ミステリー。




以前は歴史物・王朝物・姫物を読み漁っていた私。
【本を読む女。】のざれこさんの書評を読んで『読みたい!』と図書館へ予約しました。

う〜ん、久々の雅な世界黒ハート
堪能出来ました。
その上、この作品はミステリー的な謎解きが含まれていてミステリー好きな私としては一石二鳥の満足度でした。

不思議な<泉>と<みづは>という女性が形を変えて何度も登場します。
七つの物語は根底で繋がっていて、時代を古代から江戸時代まで進みつつ脈々と形を変えつつ受け継がれているものを感じさせられます。
でも、はっきりとは姿を晒してはくれない。
私の頭が付いて行けてないのかもしれませんけどf(^_^;)
でも、「これはこれでいいやっ」て、そう思う。
私が歴史物・王朝物・姫物が好きなのは、まだ神やあやかしが当たり前に存在する、そのあやふやで怪しげな雰囲気が好きだから。
あ〜、そういえば、恩田陸が好きなのも怪しげな雰囲気と謎を残のが大きなポイントなんだよな〜


とにかく、面白かったので、早速これバッド(下向き矢印)

千年の黙―異本源氏物語


を図書館に予約しました。
<第13回鮎川哲也賞受賞作>だそうです。
楽しみるんるん
posted by 読書猫 at 17:27| Comment(2) | TrackBack(2) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月28日

『小説 あらしのよるに』(きむら ゆういち)


きむら ゆういち / 小学館(2005/12)
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オオカミのガブとヤギのメイがあらしのよるに真っ暗な小屋の中で出会う。2匹は互いがオオカミあるいはヤギとわからぬまま交流を深めるが、それぞれが食うもの食われるものとしての運命の中で思わぬ摩擦が生じていく。




絵本版とは違うと聞いてたんですが、どうやら映画化されたものを作者自身が小説化した作品らしいですね。
子供向けなので、とにかく読みやすいです。

オオカミとヤギという、有り得ない2匹に生まれた友情を描いていて、そこには、ただ仲良しって内容だけじゃなくて生まれ育った環境や他種族であるが為の違い、ちょっとした行き違いから生まれる不信感や世間の偏見による苦しみなんてエピソードまで含まれていました。
これは子供に是非読んで欲しいかな〜


ただ・・・
私が大人でスレてるからなのか、ともすれば友情というよりも愛情に見えてしまいました。
友人同士ではなく恋人同士の様な・・・
ちょっと油断するとすぐに私の頭は<ロミオとジュリエット>の様な純愛悲恋物に置き換えて読んでいましたあせあせ(飛び散る汗)
それはそれで面白かったんですけどね〜


ラストがショックだったな〜・・・たらーっ(汗)
posted by 読書猫 at 13:37| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月23日

『殺してしまえば判らない』(射逆裕二)


射逆 裕二 / 角川書店(2006/03)
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首藤彪三十四歳、現在無職。妻の彩理は、東伊豆の自宅の書斎出入口で血まみれとなって死んでいた。確たる物証もないまま、妻は自殺として処理される。彪は失意のあまり東伊豆を離れるが、彩理の死の真相を究明するために再びそこで暮らす決意をする。だが、引っ越してきた直後、周囲で発生する陰惨な事件やトラブルに巻き込まれてしまう。その渦中で知り合いとなってしまった奇妙な女装マニアの中年男・狐久保朝志。外見に似合わず頭脳明晰、観察力抜群な彼の活躍で、彪の周囲で起こる事件は次々と解決していき、さらには妻の死の真相まで知ることとなるのだが…。



デビュー作の『みんな誰かを殺したい』同様、読みやすい作品でした。
でもね、前作の『みんな誰かを殺したい』は内容がタイトルと一致していたんだけど、これはよく判らなかったんですよね。
自殺した元教師の不倫相手のことかな?とは思うんですけど・・・
他にそれらしい秘密は見当たらないので。


で、途中まではストーリーを語っている首藤彪が主人公なのかと思って読んでたんですけど、どうやらこれは女装マニアの中年男・狐久保朝志の探偵シリーズの一作目の様ですね。
彼の手腕を説明する為の作品なので、複数の自殺・他殺事件が起きて彼によって解明されたんでしょうか。
う〜ん、だとすると首藤彪に主人公の様に語らせるのはちょっと的外れな気もしますが・・・
この先、狐久保朝志がシリーズ化される中で、首藤彪が助手的役割で登場して常に彼の語りで進められていくのかしら?
『情けは人の死を招く』の紹介文を読んでみた限りでは、そんな訳でもなさそうだな・・・

取り敢えず、読みやすいのでもう一冊読んでみようかな〜
タグ:射逆裕二
posted by 読書猫 at 21:27| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月18日

『みんな誰かを殺したい』(射逆裕二)


射逆 裕二 / 角川書店(2004/05)
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……
空回りみんな殺人者劇
誰が誰を?



峠で発生した殺人事件。被害者は、禿げた小太りの中年男性。目撃者は2人いて、事件は単純に解決するように思えたが-。緻密なプロットと交錯する犯罪。第24回横溝正史ミステリ大賞優秀賞、テレビ東京賞受賞作。




何人も死んで、当然、何人もの殺人犯が登場します。
でも、警察のうっかりミスや犯人の偽装工作によって、被害者と犯人がごちゃごちゃになる。
当初発表していた被害者の身元が間違っていた事が判明した場面なんて、刑事さんと一緒に「誰?それ??」って思っちゃいました。
著者の思うツボで振り回されてしまいましたわ。


読みやすく、適度にどんでん返してくれる推理小説でした。
で、この著者の2作目を借りてたりしますダッシュ(走り出すさま)
タグ:射逆裕二
posted by 読書猫 at 11:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書感想【その他の作家】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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